2009年09月26日

成果

 ちょっと思うところがあったので、前職のことを書いてみます。
 私は、アルバイト時代も含め、20年間で7社のガソリンスタンド(以下GS)運営会社を
 渡り歩き、17店舗のGS運営に携わってきました。

 GS業界は、かなり以前から、関連多角化が進んでいます。
 各社とも、ガソリンだけでは、なかなか利益が出ず、ガソリン以外の商品、
 (業界では油外商品と呼んでいます)例えば、エンジンオイル、タイヤ、バッテリー、
 洗車、車検といった車関連商品で利益を上げようと労力を費やします。
 
 また、GS運営会社は、規模の経済を追求するべく、複数店舗を展開します。
 これにより、仕入れ値が有利な条件になるだけではなく、人事異動による組織活性化や、
 店舗間の情報交換によるノウハウの共有化が可能となります。

 私が比較的、大規模なGSの責任者を務めていた頃の話です。
 そこは、平均的なGSのガソリン販売量の約4倍を売り上げる店でした。

 ある日、人事異動が発令され、私のもとに高い販売力で評判のA主任が
 配属されることになりました。
 彼は、それまで規模の小さい職場にもかかわらず、
 油外商品を多く販売しており、その活躍は社内でも評判でした。
 今回の人事異動は、規模の大きい店舗で、
 さらに油外商品を販売させようという会社の意図がありました。

 新しい職場に配属されてほどなく、A主任は
 「いやぁ、前の職場と違って、お客さんがひっきりなしに訪れるので
 油外商品を勧めるのに苦労しませんよ」と嬉しそうに話していました。

 それから数ヶ月が経過しました。A主任は、日に日に元気を失っていきました。

 ある日、私は、従業員控え室で休憩しているA主任のそばに座りました。
 「最近どうよ。元気なさそうに見えるけど」と切り出しました。

 当初、遠慮がちに話していたA主任ですが、私は彼の話に耳を傾け続けました。
 2時間ほど話を聴いていたと思います。
 このとき、私が心がけていたのは、「何を言おうか考えながら相手の話を聞かない」
 ということでした。
 上司は部下が悩んでいると、ついつい、アドバイスをしたくなりますが、
 グッと我慢し、頭の中を空っぽにして、彼の話をひたすら聴きました。

 余談ですが、バイアスを排除して、インプットをしていくのは、
 2次の与件インプットとつながるものがあります。

 彼の話の中で見えてきたのは、
 どの顧客にどの油外商品を勧めたらいいのか分からない、ということでした。 
 彼が勤務していた以前の職場は、今の職場の1/4程度の客数でした。
 ですから、彼の頭の中には、ほとんどの顧客車両のコンディション
 (いつオイル交換をしたか、タイヤは換え時か、車検はいつが期限かなど)
 がある程度インプットされていて、「この顧客の車両には、現在この油外商品が必要だ」
 ということがある程度分かっていました。
 なので、顧客が来店した時に、お勧めできる油外商品を念頭に接客をし、
 販売に結びつけていました。

 しかし、今の職場は客数が非常に多く、 
 顧客の車両のコンディションもほとんどインプットされておらず、
 どの顧客にどの油外商品をお勧めするべきか分からない、ということでした。

 そこで私が投げかけた質問は
 「A主任は、油外商品のうち何を売りたいの?」でした。
 ほどなくして「タイヤです。」という答えが返ってきました。

 「じゃ、タイヤだけ売って。」とリクエストしてみました。

 「タイヤ以外の油外商品について、販売(利益)予算が達成できなくなりますよ。
 どうするんですか?」という彼の問いに対して、
 「タイヤ以外の油外商品で得るべき利益は、タイヤの利益でカバーしてくれればいい。」
 と答えました。
 「それはできるかどうか分かりません。」とA主任。
 「出来なかったら、私が責任取るから心配しなくていよ。」と私。

 どの顧客にどの油外商品をお勧めするか、ではなく
 全ての顧客のタイヤを点検して、摩耗したタイヤを発見し、タイヤを売っていく。
 この時点で、この職場におけるA主任の販売手法が決まりました。

 そこから彼の大活躍が始まることになりました。

 GSの一つのステイタスとして「タイヤの年間販売本数1,000本」というものがあります。
 これをきっかけに、ここの職場では4年連続でこれを達成しました。

 私が傾聴の研修に注力しているのは、A主任とのこのやり取りに原点があると思います。


posted by 熱血感動型 at 11:48| 埼玉 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | ガソリンスタンド | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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