2011年05月24日

天然

 独身の頃、行きつけのバーがありました。
 当然、店長とは顔見知りなわけで、仲もそこそこ良かったと思います。

 その日の深夜、私は一人で、このバーの扉を開けました。

 「いらっしゃいませ、今日はおひとりですか?」
 出迎えた店長が尋ねます。
 「いや、彼女と待ち合わせなんだわ」
 「承知しました。こちらへどうぞ」

 案内された席で、ジントニックを飲みつつ、彼女の到着を待ちます。
 しかし、待てど暮らせど彼女はやって来ません。

 店長は、「熱血さん、振られたんじゃないの?」
 そんなメッセージを言葉の裏に隠しつつ、
 「お連れ様、来られませんねぇ」 と話しかけてきます。

 1時間ほど待ったと思います。いい加減バツが悪くなってきました。
 彼女の電話番号は聞いていないので、連絡の取りようがありません。

 私は一計を案じました。
 「店長、ちょっと電話貸してくれる?」
 (ちなみに当時は携帯が普及していませんでした)

 電話を借りて、一人暮らしの「私の」自宅へ電話をしました。
 自宅の電話は留守電になっています。

 「あ、もしもし、オレだけど。いつになったら来るんだ?
 バカ、謝って済むかよ。オレはどれだけ待ったと思ってる?
 そんな泣かれても困るんだよな。うんうん、事情は分かった。
 しかし、お店に連絡するとか、方法はあったよな。
 まぁ、そういう事情なら許してやるけど。全くしょうがねぇなぁ。」

 はたから見ると、約束をすっぽかした彼女を叱りつつ、
 不測の事態で彼女が来れなくなったことに対して、
 一定の理解を示している物わかりのいいお兄さんのように見えたと思います。

 でも、それはポーズ。実態は自分ちに電話して、
 留守電にメッセージを吹き込んだだけ。

 「じゃ、店長、今日はオレ帰るわ。彼女、都合が悪くなったんだってさ。」
 かなり酔っぱらっていた私は店を後にして、自宅へ向かいました。

 約30分後、自宅に到着しました。一人暮らしのわびしい部屋。
 ふと自宅の固定電話を見ると、留守電のランプが点滅しています。
 いそいそとメッセージを聞いてみました。

 男性からのメッセージでした。
 「あ、もしもし、オレだけど。いつになったら来るんだ?
 バカ、謝って済むかよ。オレはどれだけ待ったと思ってる?
 そんな泣かれても困るんだよな。うんうん、事情は分かった。
 しかし、お店に連絡するとか、方法はあったよな。
 まぁ、そういう事情なら許してやるけど。全くしょうがねぇなぁ。」

 誰だこいつ?オレ、男と約束してたっけ?
 なぜ知らない男から、こんなメッセージが?
 さらに口調が何か怒ってるぞ。オレ何かやったかな?

 不安を抱えながら、とりあえずベッドに入り、眠りました。
 翌朝、留守電に吹き込んだメッセージをもう一度、再生しました。

 「あ、このメッセージ入れたのオレだ。」


 昨日、yahooの知恵袋で見つけた
 「身の回りの天然エピソードを教えてください」を
 クスクス笑いながら読みつつ、思い出したエピソードです。


posted by 熱血感動型 at 06:53| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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